ところで、コロナ禍において中小企業での実際の経済状況はどうだったのでしょうか?大同生命が行った中小企業経営者アンケート(「大同生命サーベイ」2022年5月度アンケート)によると、「直近1年間で資金繰りを行ったか」の質問に対し60%もの経営者が資金繰りを行ったと回答しています。さらに、当部会の会員に対して行ったアンケートにおいても56%が資金繰りを行った回答しています。また、「コロナ禍において新しいことを始めたか」という質問に対しての回答は34%でした。新型コロナウイルスによって変化した働き方や、消費行動に合わせ、新しい事を始めた企業が3割以上いたということが分かります。その中でデジタルツールの活用や、デジタル化に着手したという回答が約8割を占めていました。企業が経営を行っていく中で、デジタル技術の活用はより一層、欠かせないものとなっていくことが考えられます。株式会社野村総合研究所が行った調査(「中小企業のデジタル化に関する調査」)によると、デジタル化に抵抗が強い企業では業績にプラスの影響を与えたという実感も43%に留まる一方、積極的な文化が醸成されている企業では、76%が実感しているようです。政府も「デジタル庁」を新設する等、わが国において、より一層のデジタル化が推進されていくことが予想され、新たなデジタル技術が企業に浸透していくこともあるかもしれません。少子高齢化による人口の減少や、地震や台風等の自然災害の頻発化など、これまで日本が抱えていた問題に加え、新型コロナウイルス等の感染症の脅威やサイバー攻撃の急増など中小企業・小規模事業者の事業継続に対するリスクは高まっています。コロナ禍を例に考えると、経済に大きく影響を与える非常事態が起きた際に家計や企業を守るため、国は補助金や助成金制度等の対策を行いましたが、それらは税金や国債を予算として行われたものであるということを忘れてはいけません。企業側も環境の変化に備えて準備をしておくべきだということはコロナ禍から学んだ事の一つなのではないでしょうか?大きな環境変化が起きた際には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源が損なわれることが予想されます。これら4つの要素について、いかにして事前に対策を立てておくかが重要となります。環境変化が起きた際においても社会と税金の循環を保っていかなくては経済を安定して保つことはできません。これから起こりうる環境変化に対して、働き方改革、デジタル化、脱炭素社会への取り組みなど、企業として対応すべきことは日に日に増加しています。私たちは税金を収め、雇用を守る立場として「国」、「家計」、「企業」それぞれに取られる対策を注視しながら、柔軟に対応し備えることを求められるのではないかと考えます。コロナ禍においての企業の状況これからの環境変化に対応するために44%「コロナ禍において資金繰りのための対応を行いましたか?」当部会実施 会員企業向けアンケート(2022年12実施)56%対応を行わなかった対応を行った34.1%「コロナ禍において新しいことを始めたか」当部会実施 会員企業向けアンケート(2022年12実施)5.5%60.4%今後始める予定始めていない始めた10
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